行政サービスID

2014年11月10日

「ユニバーサルメニュー」(以下、UM)は、各情報の識別子として、「行政サービスID」を用いています。
行政サービスIDとは、「行政機関が整備している 行政サービス(届出・申請・その他サービス) に対して付される番号及びその体系」です。

現在マイナンバー制度が国会で議論されています。これは、税や社会保障を中心に国民を識別できるいわゆる「国民番号」をつける取組みで、今後、国、自治体のWEBサイトで実現が見込まれている電子政府、マイポータルにはなくてはならない機能です。
しかし、実は、「国民(=利用者)側に番号をつけるだけは不十分」ではないかというのが、行政サービスID開発の出発点です。

これは企業のポータルサイトに例えると、良くわかります。
企業のサイトに置き換えると、現状のマイナンバーの議論では、顧客IDだけが議論されていて、商品サービスに関する番号(ID)についてはほとんど議論されていない状況に他なりません。
企業サイトの場合は、顧客IDはもちろん重要な役割を果たしています。一方、社内の部署、そして仕入れなどお取引先も交えた商品サービスコード、すなわち「商品・サービスID」設計も極めて重要な要素となっています。例えば、新商品の開発、商品のリニューアル、商品の販売終了に伴う消し込みなど、この商品サービスコードが無くては全く機能しません。
これは、行政の場合には、新しい行政制度の制定、改変、廃止などの流れにともなって、行政サービスIDが不可欠だということと全く同じ状況です。

行政サービスID設計の背景

行政サービスIDの設計にあたっては、具体的には以下のような課題に着目いたしました。

制度を特定する手段の未整備

現状、特定の制度やデータを指定する場合には、日本語の「名前」で各制度を検索し、利用者が都度判断を下しています。しかし、名前だけでそれぞれの制度を一意(ユニーク)に識別することは一般的に難しい状況で、例えば、一般的には扱いにくい長い名前の制度や似たような名前だが実際は異なる制度が様々に存在している状況です。

制度内容を簡易に判別できる属性情報(フラグ)の未整備

行政サービスの「内容」を簡易に判別するための手段も、現在のところは未整備です。
例えば、行政サービスの内容、対象者(一般市民向けか事業者向けか、対象年齢制限はあるか、年収制限はあるか など)についての情報を得るには、現状ではその都度、制度内容(文章)を読み込めばわかりますが、それは時間がかかり、なおかつシステム的な処理を考えると現実的ではありません。こうした処理を進める上でも、制度内容を簡易に判別できる属性情報(フラグ)の整備が不可欠となります。

複数制度間の関連を表現する手段の未整備

さらに複数制度間にまたがる制度の関連性を判別することが現状では困難です。
例えば、国と地方公共団体の制度の関係整理、近隣地方公共団体との制度比較は、既存の仕組みだけでは簡単には行えません。

共有する仕組みの欠如

最後に、前述の「制度を一意に示す識別子」、「制度の内容を示す属性情報」、「制度間の関連性の表現手段」については、複数団体にまたがって共有すr仕組みの実現が充分整備できているとは言えない状況です。本来、こうした仕組みは、根拠とする法令や制度が似ている場合は、複数団体間で共有することが可能であり、膨大な量の行政サービス、行政関連情報について扱う場合は、その方が開発、管理運用コストを圧縮する事が可能となります。
さらに、昨今のクラウド化の流れを踏まえ、こうした仕組みのオープンコード化の重要度が高まっている状況です。

行政IDが備えるべき要件

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行政サービスIDのユースケース

(1)国、自治体Webサイトのマイポータルでの活用

国・自治体を問わず、図のようなマイポータルに関する議論が現在様々なところでなされています。そこでは、一般利用者や企業に関わらず、マイポータルという行政(国または自治体)のポータルサイトにログインして、様々な行政サービスについての情報を閲覧できることを目指しています。
一方こうしたポータルサイトが実現しても、行政サービスを識別する仕組み(ID)がない今のままでは、「A制度を受けたらB,C制度も受けられる」、あるいは「A制度を受けたら、D制度は受けられない」など利用可能な制度を網羅的に整理体系化することが非常に難しくなっています。
行政サービスIDは、こうした制度間の関係性を表現するための基本となる制度毎の識別子として、重要な役割を果たします。

図(1)市民、企業にとって利用可能な制度を網羅的にお知らせ

(2)国、自治体におけるオープンデータへの活用

今まで様々な行政サービスや公的データが行政サイト上に掲載されていても、言いかえればオープンになっていても、それが民間にとっても、また国、自治体の担当者自身にとっても、探しにくく、また活用しにくかった状況が多々見受けられています。
この一因としては、現状ではそれぞれの「名前」で各制度、または各データを検索し、その関係を判断していたことも大きな要因としてあります。
しかし、一般に名前だけでは、名前の付け方などにより、それぞれを一意(ユニーク)に識別することは一般的に難しくなってきます。
こうしたユースケースにおいても、もしそれぞれの制度情報やデータごとに個別の識別子IDがついていると、それぞれの情報を一意に特定することが出来ます。これによって、必要な行政サービス、行政データを検索する効率は飛躍的に高まることになります。
その上でそれらの識別子に紐付いた情報が、XMLなどあらかじめマシンリーダブル(機械可読式)になっていれば、さらに情報の処理も飛躍的に高まることになります。

図(2)行政データの利用促進、統計処理への活用

(3)役所内業務の効率化

最後に、行政サービスIDは、役所内の業務効率化でも大きな意味を持ってきます。
役所内でも、前述と同じく、今までは制度の「名前」で担当者が制度ごとの関係を判断していました。これは役所内の行政情報についても、役所外の行政情報(例えば、近隣の他自治体の情報)についても同じです。
しかし、もし行政サービスIDという仕組みがあれば、これらの業務も非常に効率的に行えるようになってきます。
例えば、役所内で、子育て関連制度や子育て関連予算について、組織部署の壁を越えた洗い出しや、組織の壁を越えた業務の効率化が、比較的に容易に行えるようになります。
さらには国や他自治体など、自治体外の関連制度、関連業務等との比較なども容易に行えます。例えば、医療費や各種助成金の支出について自治体間での比較も、行政情報を識別するIDがあれば、極めて容易になります。(逆に行政サービスIDが無い現状では、それが非常に困難です)

図(3)役所内業務の効率化

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行政サービスIDの概要

行政サービスIDは、行政サービスIDで定義される行政サービスの名称・根拠法令・所管・コンテンツ・予算・タグ等を情報として持ち、当該行政サービスから派生した行政サービスを子として紐付けることで、行政サービスの体系化を図る構成となっています。
具体的には、行政サービスIDは、次の各要素から構成されます。

  1. 国コード : 制度・サービスが実施・提供されている国を表す。
  2. 管理者コード : 制度・サービス番号の付番権者を表す。
  3. 制度・サービスコード : 通し番号。
  4. 異制度セレクタ : 情報更新のバージョン管理を行う。
  5. チェックディジット

「制度・サービスコード」は、届出、申請やその他サービスを表わし、「異制度セレクタ」で、異名同制度、同名異制度の区別を表します。
また、各行政サービスIDにはその行政サービス等を表す制度名や根拠法令、コンテンツ(対象者、支給内容など)やタグなどの付属情報が紐付きます。
また、これらの情報には、それぞれに期間情報を設定し、時間の概念も持たせる体系としています。これにより、実施する行政機関の違いによって生じる名称のゆらぎや制度内容の違い等を比較し、制度改正等によるコンテンツの変更等を時系列で確認することが可能とすることを目指しています。
これまでにも様々な団体によって、国や自治体を対象とした行政サービス・サービスに係る番号がふられてきました。また、地方公共団体の業務システムの処理のために独自の業務番号や識別番号も様々に標準仕様化されています。
今回の行政サービスIDでは、既存のコードの利用範囲をさらに拡充しており、単なる内部管理のための記号に留まらず、行政サービスIDを活用した住民や行政職員等の利便性の実現を念頭に置いた体系化を目指しています。

図 行政サービスIDの構造

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